こんばんは、チャチャです😺
今回取り上げるのは、2024年のカンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞した話題作『サブスタンス』。デミ・ムーアが主演を務める、美への執着を描いたボディホラーの傑作だ。最初は「ああ、またハリウッドの美への固執テーマね」なんて軽く考えてたんだが、観終わった後は完全にKOされちまった。これはホラー映画だ、間違いなく!
ポップコーン🍿とセブンアップ🥤の準備はいいかい??
あと胃薬もな!笑
ネタバレ全開レビュー、愛情と皮肉たっぷりでいきましょう!
基本情報
・原題:The Substance
・邦題:サブスタンス
・公開年:2024年
・上映時間:140分
・監督:コラリー・ファルジャ
・脚本:コラリー・ファルジャ
・主演:デミ・ムーア、マーガレット・クアリー、デニス・クエイド
受賞歴
- 第77回カンヌ国際映画祭:脚本賞受賞(コラリー・ファルジャ)
- 第97回アカデミー賞:5部門ノミネート(作品賞、監督賞、主演女優賞、脚本賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞)、メイクアップ&ヘアスタイリング賞受賞
- 第82回ゴールデングローブ賞:主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)受賞(デミ・ムーア)、作品賞・監督賞・脚本賞・助演女優賞ノミネート
- サターン賞:主演女優賞(デミ・ムーア)、メイクアップ賞受賞
- カンザスシティ映画批評家協会賞:作品賞、監督賞、主演女優賞、助演女優賞、脚本賞、SF/ファンタジー/ホラー賞受賞
- ドリアン賞:作品賞、監督賞、主演女優賞受賞
- その他、各国映画祭・批評家協会で100以上の受賞・ノミネート
あらすじ(ネタバレ軽め)
かつてアカデミー賞を受賞したエアロビクス番組の司会者エリザベス・スパークル(デミ・ムーア)は、50歳を迎え番組をクビになってしまう。若さと美貌を失った絶望の中、彼女は謎の薬物「サブスタンス」の存在を知る。この薬は「より良い自分」を生み出すというが、その代償は想像を絶するものだった。美への執着が狂気へと変わっていく、戦慄のボディホラー。
ストーリー全開(ネタバレあり)
前半
エリザベス・スパークルは、かつてハリウッドスターとして輝いていたが、今は50歳のエアロビクス番組司会者として細々と活動している。しかし、番組プロデューサーのハーヴェイ(デニス・クエイド)から年齢を理由に番組降板を告げられ、絶望の淵に立たされる。交通事故に遭った病院で、謎の看護師から「サブスタンス」という薬物の情報を得る。
この薬は7日間だけ「より良い、より若い、より完璧な自分」を生み出すという。
中盤
エリザベスは禁断の薬物に手を出し、背中から若く美しい女性スー(マーガレット・クアリー)が誕生する。スーは完璧なボディと美貌を持ち、瞬く間にエリザベスの番組を奪い取る。しかし、ルールは厳格だった。7日間ずつ交代で生活し、決して期間を延ばしてはならない。
だが、成功に酔いしれたスーは次第にルールを破り始め、エリザベスの体は徐々に老化していく。
後半
ルール違反を重ねたスーとエリザベスの体は急激に崩壊し始める。エリザベスは醜く変貌し、スーも完璧な美貌を維持できなくなる。最終的に、エリザベスは「サブスタンス」の製造元に助けを求めるが、もはや手遅れ。新年のテレビ番組で、完全に変貌したモンスターと化したエリザベス/スーが観客の前に現れ、血みどろの惨劇が繰り広げられる。
美への執着が生んだ悲劇的な結末が待っていた。
キャスト紹介
デミ・ムーア(エリザベス・スパークル)
かつてのハリウッドスター、現在はエアロビクス番組の司会者
61歳にしてこの体当たり演技、マジでリスペクト!『ゴースト』の頃の面影なんて微塵もないぜ。女優魂ここに極まれり!
マーガレット・クアリー(スー)
エリザベスから生まれた若く美しい分身
この子のボディ、マジで芸術品レベル!ゲイの俺から見ても、あれは間違いなく最高のバット!ストレート男子は失神注意!
デニス・クエイド(ハーヴェイ)
番組プロデューサー、典型的なハリウッドの悪役
相変わらずのクズ役が板についてる。あの下品な食事シーンは観てるこっちが胃もたれするレベル!
ゴア・アブラムス(オリバー)
エリザベスとスーの隣人。最初はエリザベスだと思って怒鳴り込むが、スーの美貌に一撃ノックアウト
美しさの前では男なんてこんなもの。手のひら返しの象徴的キャラクター!
思うままのレビュー
ビジュアルの暴力性が半端ない
この映画の最大の武器は、その圧倒的なビジュアルインパクトだ。コラリー・ファルジャ監督の演出は、まるで絵画のような美しさと醜悪さを同時に表現している。特に色彩の使い方が秀逸で、黄色、赤、ピンクといったビビッドな色彩が画面を支配し、観客の網膜を焼き付ける。
美容クリニックの無機質な白と、血の赤のコントラストは、美への執着の狂気を視覚的に表現している。
カメラワークも独特で、対称性を重視した構図が多用され、まるでスタンリー・キューブリック作品を彷彿とさせる。そして音楽!この不穏で不安感を煽る楽曲が、観客の心をじわじわと蝕んでいく。まさに聴覚からも恐怖を植え付ける完璧な演出だ。
デミ・ムーアの体当たり演技に脱帽
61歳のデミ・ムーアが見せる演技は、まさに女優人生の集大成と言える。『ゴースト』の時の彼女は、世界中が守ってあげたいと思った愛らしい存在だった。『チャーリーズ・エンジェル』では、キャリアが熟してマジでかっこよかった!そんな彼女が、この役を引き受けた勇気に脱帽だ。
本人も役と自分が重なることを理解しているはず。
昔の美しさと今の自分を比較してしまう心、誰にだって若さへの憧れはある。だからって今の年を取った自分を認めないと、今までの自分を否定することになる。
それが理解できない、それが難しいことがハリウッドへの痛烈な批判なんだ。そんな清濁汚濁を飲み込んでホラーエンタメに仕上げたのは、やっぱり圧巻だった。
ちゃんみなの言葉が刺さりすぎる件
この映画を観ていて、ふと思い出したのがちゃんみなの「No No Girls」オーディションでの一幕。候補生のCHIKAに対して放った言葉が、まさにこの映画のテーマと重なる。
「過去のCHIKAをたたえてほしいんです。やってきたこと、乗り越えたこと。こんなに歌うまくて、ダンスもできるのに、それを中指立てちゃダメ、自分の過去に。それだけは本当に忘れないでほしい」。
【No No Girls】Ep.08 / 4th Round -Yes Yes Girls-
29分47秒ぐらいからそのシーン
これ、マジで真実だよ。
エリザベスは自分が歩んできた道に中指を立てているからこそ、自分に注射したんだ。
ちゃんみなの言語化能力、さすが今をときめくフィーメールラッパー!この言葉を聞いた時、映画のテーマがより深く理解できた。
マーガレット・クアリーの肉体美が芸術レベル
スー役のマーガレット・クアリーの肉体美は、もはや芸術の域に達している。彼女のボディラインは完璧すぎて、CGかと疑うレベル。
特にヒップのカーブは、ミケランジェロが彫刻したかのような美しさだ。
しかし、この完璧な美しさが逆に不気味さを醸し出すのも、この映画の巧妙なところ。美しすぎることの恐ろしさを体現している。
『永遠に美しく』との奇妙な符合
この映画を観ていて、こちらもふと思い出した。1992年の『永遠に美しく(Death Becomes Her)』だ。
メリル・ストリープとゴールディ・ホーンが美への執着で魔法の薬を飲み、ボロボロになっていくブラックコメディ。あっちは大分コメディ寄りだったが、美に取り憑かれた女性たちが破滅していく構図は『サブスタンス』と驚くほど似ている。
しかも、あの映画にはデミ・ムーアの元旦那ブルース・ウィリスも出演していたという奇妙な符合。30年以上の時を経て、今度はデミ自身が美への執着で狂気に陥る役を演じるなんて、運命のいたずらとしか言いようがない。
ただし、『永遠に美しく』がコメディの皮を被った風刺だったのに対し、『サブスタンス』は容赦ないホラーで現実を叩きつけてくる。時代が変わり、美への強迫観念もより深刻になったということか。
ボディホラーとしての完成度
この映画は間違いなくボディホラーの傑作だ。人体の変化、崩壊、再生といったテーマを、これでもかというほど視覚的に描写している。特に「サブスタンス」の効果で体が変化していくシーンは、観客の生理的嫌悪感を確実に刺激する。デヴィッド・クローネンバーグの『ザ・フライ』や『ビデオドローム』に匹敵する、いや、それを超える衝撃度だ。
最終的なモンスター化シーンは、もはやスプラッター映画の領域。胃の弱い人は要注意!
現代社会への痛烈な風刺
表面的にはホラー映画だが、その根底には現代社会の美への強迫観念に対する痛烈な批判がある。SNSで加工された美しさが当たり前となり、年齢を重ねることが罪悪視される現代。エリザベスの狂気は、決して他人事ではない。
ハリウッドの年齢差別、美容整形への依存、若さへの異常な執着など、現代社会の病理を見事に映し出している。
そして、デニス・クエイドの食事シーンは本当に気持ち悪かった!美味しいもの(欲しいもの)はとことん食い尽くしてやる、汚く、下品にね。残るのは骨だけ。映画では大量のエビの皮のみが残る。たくさんのタレントが潰されてきたハリウッドの現実を象徴している。
観終わった後、自分のインスタグラムの加工具合を見直したくなること間違いなし!
小ネタ & 裏話ピックアップ!
カンヌ映画祭での13分間スタンディングオベーション
2024年のカンヌ国際映画祭でプレミア上映された際、観客から13分間にも及ぶスタンディングオベーションを受けた。これは近年のカンヌでも異例の長さで、デミ・ムーアは涙を流しながら拍手に応えていた。
特に脚本賞受賞時のスピーチでは、「年齢を重ねた女性の価値を問い直したかった」と語り、会場は感動に包まれた。
実際の美容業界からの反発
映画公開後、一部の美容整形業界から「業界への偏見を助長する」として批判の声が上がった。しかし、監督のコラリー・ファルジャは「批判されること自体が、この映画のメッセージが届いている証拠」と反論。
実際、美容整形大国である韓国では、この映画をきっかけに美容整形への依存について議論が活発化している。
「サブスタンス」の薬物デザインの秘密
劇中に登場する謎の薬物「サブスタンス」のビジュアルデザインは、実際の美容注射器をモチーフにしている。プロダクションデザイナーは、高級化粧品ブランドのパッケージデザインを研究し、美しさと不気味さを両立させた。特に注射器の形状は、美容医療の象徴でありながら、どこか不穏な印象を与えるよう計算されている。
デミ・ムーアの減量と増量のサイクル
撮影のため、デミ・ムーアは役作りで体重を意図的に増減させた。エリザベスの老化シーンでは実際に体重を増やし、若い頃の回想シーンでは徹底的に体を絞った。
61歳でこの体当たりぶりは、まさにプロフェッショナルの証。トレーナーも「彼女の意志の強さは異常」と証言している。
血糊の使用量が映画史上級
この映画で使用された血糊の量は、なんと200リットル以上!特に最終シーンのスプラッター描写では、1日で50リットルもの血糊が消費された。特殊効果チームは「デ・パルマの『キャリー』以来の血祭り」と興奮気味にコメント。清掃スタッフは毎日戦場のような撮影現場と格闘していたという。
撮影裏&キャスト秘話
マーガレット・クアリーの厳格なボディメイク
スー役のマーガレット・クアリーは、撮影の6ヶ月前から専属トレーナーとともに徹底的なボディメイクを行った。1日3時間のワークアウト、厳格な食事制限、そして週2回のヨガで完璧な肉体を作り上げた。
「この役のために人生で最も美しい体を手に入れた」と本人も語っている。その努力の結果があの芸術的なボディライン!
デニス・クエイドの食事シーンへのこだわり
ハーヴェイ役のデニス・クエイドは、劇中の下品な食事シーンのために実際に大量の食べ物を摂取した。エビを貪り食うシーンでは、1テイクで2キロものエビを完食。「演技のためなら何でもする」という彼の職人気質が光る。ただし、撮影後は胃薬が手放せなかったとか。
特殊メイクチームの苦労話
エリザベスの変貌シーンを担当した特殊メイクチームは、毎日6時間かけてデミ・ムーアを変身させた。特に老化メイクでは、シリコン製のプロテーゼを20個以上使用。「彼女の顔の形を完全に変えるのは技術的な挑戦だった」とメイクアップアーティストは振り返る。デミ・ムーア自身も「鏡を見るのが怖かった」と告白。
撮影現場での心理的ケア
この映画のテーマが重いため、撮影現場には専属のカウンセラーが常駐していた。特にデミ・ムーアは、自身の年齢と重ね合わせて役に入り込みすぎる傾向があり、定期的なカウンセリングが必要だった。「演技と現実の境界線を保つのが大変だった」と監督も証言している。
最終シーンの撮影は3日間の血祭り
映画のクライマックスとなる血みどろのシーンは、3日間かけて撮影された。毎日朝から晩まで血糊まみれの撮影で、キャスト・スタッフ全員が疲労困憊。特にデミ・ムーアは、重い特殊メイクとコスチュームで動きが制限される中、渾身の演技を披露。「人生で最もハードな撮影だった」と全員が口を揃える。
まとめ/総括
『サブスタンス』は、間違いなく2024年最強のインパクトを持つ映画だ。最初は「また美への執着テーマか」と軽く考えていたが、観終わった後は完全にノックアウトされた。これはホラー映画であり、社会派映画であり、そして何より勇気ある映画だ。
デミ・ムーアの体当たり演技は、ハリウッドの年齢差別への強烈なカウンターパンチ。61歳でここまでやるか!という驚きと、女優としての矜持を感じずにはいられない。マーガレット・クアリーの完璧すぎる肉体美も、美しさの裏に潜む恐怖を見事に表現している。
ビジュアル面では、コラリー・ファルジャ監督の才能が爆発している。絵画のような美しさと、生理的嫌悪感を同時に与える映像は、観客の感情を激しく揺さぶる。特に色彩の使い方は秀逸で、黄色、赤、ピンクのビビッドな色調が、狂気と美しさを同時に表現している。
ただし、この映画は万人受けしない。スプラッター要素が強く、胃の弱い人には確実にキツい。でも、それこそがこの映画の狙いだ。美への執着の狂気を、視覚的にも精神的にも観客に叩きつける。現代社会への痛烈な風刺として、これほど効果的な作品はない。
観終わった後、自分のSNSの加工具合を見直したくなること間違いなし。美しさとは何か、年齢を重ねることの意味とは何かを、改めて考えさせられる。これは映画体験というより、一種の洗礼だ。勇気のある人だけ、この狂気の世界に足を踏み入れてくれ!
総合評価
ストーリー ★★★★☆
美への執着というテーマを、ホラーとして昇華させた脚本は見事。ただし、後半の展開は好みが分かれるところ。
映像・演出 ★★★★★
コラリー・ファルジャ監督の映像センスは圧巻。色彩、構図、特殊効果、全てが完璧。
キャラクター ★★★★★
デミ・ムーアの体当たり演技と、マーガレット・クアリーの完璧な肉体美。キャラクターの魅力は文句なし。
テーマ性 ★★★★★
現代社会への風刺として、これほど効果的な作品はない。美への執着の恐ろしさを見事に描写。
インパクト ★★★★★
観終わった後の衝撃度は今年No.1。トラウマレベルの映像体験。
総合評価:★★★★☆
万人にはオススメできないが、映画好きなら絶対に観るべき問題作。美しさと醜悪さ、狂気と正気の境界線を見事に描いた傑作ホラー。ただし、胃薬の準備は忘れずに!
▶このシリーズのnoteマガジンはこちら👇
観たら語らずにいられない!チャチャの映画部屋
コメント