【単発映画レビュー】🎭【ネタバレあり】『国宝』レビュー:歌舞伎が憎くて仕方ない。それでもいい。それでもやる。その先で辿り着いた景色とは?

映画部屋
スポンサーリンク

こんにちは、チャチャです😺
今回は“芸”と“血”と“狂気”の三重奏!『国宝』はただの映画じゃない、魂を削る修羅場。歌舞伎の世界で人間性を捨ててまで追い求める“景色”――その先に何があるのか、一緒に覗いてみよう。

吉沢亮と言えばこの印象が強かったんですよね。笑

ポップコーン🍿とセブンアップ🥤の準備はいいかい??(腹減りすぎて、ホットドッグも食べました^ ^)
ネタバレ全開レビュー、愛情と皮肉たっぷりでいきましょう!


▶このシリーズのnoteマガジンはこちら👇
観たら語らずにいられない!チャチャの映画部屋


スポンサーリンク

基本情報

  • 原題:国宝
  • 邦題:国宝
  • 公開年:2025年
  • 上映時間:175分
  • 監督:李相日
  • 脚本:奥寺佐渡子
  • 主演:
    • 吉沢亮(立花喜久雄/花井東一郎)
    • 横浜流星(大垣俊介/花井半弥)
    • 渡辺謙(花井半二郎)
    • 三浦貴大(竹野)
    • 田中泯(小野川万菊)
  • 原作:吉田修一『国宝』(2017年刊行・第69回毎日出版文化賞受賞作)
  • 配給:東宝
  • 映倫区分:PG12

あらすじ(ネタバレ軽め)

任侠の家に生まれた喜久雄は、父を抗争で亡くし天涯孤独となる。彼の美貌と天性の才能を見抜いた歌舞伎界の名門・花井半二郎に引き取られ、歌舞伎の世界へ。半二郎の息子・俊介と兄弟のように育ち、時に親友、時にライバルとして互いを高め合う。血筋と才能、芸と愛憎が絡み合いながら、喜久雄は“国宝”と呼ばれる存在へと駆け上がっていく。

ストーリー全開(ネタバレあり)

前半

戦後の混乱期、任侠の家に生まれた喜久雄は、父の死によって一気に運命が狂う。歌舞伎界の名門・花井半二郎に引き取られた彼は、半二郎の息子・俊介と出会い、芸の道へ。美貌と天性の女形としての才能を発揮する喜久雄だが、血筋という壁に苦しみながらも、俊介と切磋琢磨していく。

中盤

俊介との関係は、親友でありながらも激しいライバル関係へと変化。半二郎が事故で倒れたことで、喜久雄が代役に抜擢され、俊介との間に決定的な亀裂が走る。芸に全てを捧げる中で、喜久雄は自分の存在意義、血筋、そして「国宝」となることの意味に苦悩し続ける。

後半

時代は高度経済成長期へ。喜久雄は芸の高みを目指し、私生活や人間関係を犠牲にしながらも舞台に立ち続ける。俊介との関係は和解と断絶を繰り返し、ついに“国宝”の称号を得る。しかし、その裏には多くの犠牲と孤独があった。クライマックスの舞台シーンは圧巻、観客の魂を震わせるフィナーレとなる。


原作小説『国宝』について

吉田修一による原作小説『国宝』は、戦後から平成までの激動の時代を背景に、歌舞伎界を舞台にした壮大な人間ドラマで、全2巻・約700ページ超の大作。主人公・喜久雄と俊介の人生を、幼少期から老年期までじっくり描き、血筋・芸・家族・社会のしがらみ、そして時代の変遷までを濃密に織り込んでいるのが特徴。歌舞伎の稽古や舞台裏、家族の複雑な愛憎、社会の変化など、細やかな心理描写と圧倒的なスケール感で“現代の大河小説”と評されている。


原作と映画の主な違い

  • 時間軸・描写の省略
    原作は約60年にわたる二人の人生をじっくり描くが、映画は2時間半に凝縮されているため、幼少期や青年期の細かなエピソードや脇役の人生、時代背景の変化などが大幅にカットされている。
  • 心情描写の密度
    原作は登場人物の心の動きを丁寧に積み重ねるが、映画では説明や心理描写が足早になり、特に春江の“乗り換え”や家族の態度変化などが唐突に見えるのはこのため。
  • オリジナル演出・脚色
    映画独自の化粧シーンや舞台演出が追加されている一方、原作にあった複数の脇筋や時代ごとの社会描写は省略されている。

キャスト紹介

  • 立花喜久雄(吉沢亮)
    任侠の家に生まれながら歌舞伎界で女形として頂点を目指す。美しすぎて人生ハードモード。吉沢亮の美貌、ここに極まれり!面がマジでよい。
  • 大垣俊介(横浜流星)
    花井家の御曹司で喜久雄の親友&ライバル。空手仕込みの体幹で歌舞伎にも挑戦。イケメン二人のガチバトルは眼福!面がマジでよい2。白塗りが若干バカ殿に見えたのはここだけの話。
  • 花井半二郎(渡辺謙)
    歌舞伎界の重鎮。喜久雄と俊介を厳しく育てる。安定の渡辺謙、貫禄が違うぜ!
  • 福田春江(高畑充希)
    喜久雄の恋人。芯の強さと儚さが同居するキャラ。高畑充希の表情芝居が光る!でも劇中だけだと、やっぱアバズレに見てしまう。うーん、やっぱ脚本って大事。
  • 大垣幸子(寺島しのぶ)
    俊介の母。家族の複雑な愛憎を体現。寺島しのぶの存在感、さすがです。
  • 彰子(森七菜)
    歌舞伎役者・吾妻千五郎の娘。喜久雄のことを慕う。小説だときっとちゃんと描写があるんだろうけど、劇中だとポッと出感が否めないぜ!
  • 藤駒(見上愛)
    喜久雄が京都の花街で出会う芸妓。まだ無名の喜久雄の、役者としての才能を予見する。こちらも小説だときっとちゃんと描写があるんだろうけど、劇中だと未成年の喜久雄にいきなり求婚する危ないお姉さん。
  • 竹野(三浦貴大)
    歌舞伎の興行を手掛ける三友の社員。世襲制や血筋主義に冷ややかな視線を持ち、実直で俯瞰的な存在。大分ガチムチになってた。だが良い。タイプです。ライフセーバーを昔やってたので、昔はえぐいイケメンですよ。面がマジでよい3。やはり三浦友和、山口百恵の血は強い。
  • 小野川万菊(田中泯)
    女形の大御所歌舞伎役者。田中泯の演技は本作随一の狂気と美しさを放つ。美しい化け物――まさにその異名がふさわしい。舞台上での妖艶さ、圧倒的な存在感、そしてどこか人間離れした怖さ。万菊の一挙手一投足が、喜久雄の“芸”の在り方に大きな影響を与える。田中泯の怪演は、観る者の脳裏に焼き付くレベル。

思うままのレビュー

  • 吉沢亮の“本気”は素人の心も動かす
    吉沢亮の女形は、まさに人間国宝級の存在感を放っている。歌舞伎の専門知識がない観客であっても、その気迫と美しさに心を奪われ、感動を覚えることは間違いない。彼の演技は単なる表面的な美しさにとどまらず、内面から滲み出る情熱と葛藤が観る者の胸を打つ。特に、感動的なシーンでなくとも、彼の真剣な演技が伝わる瞬間には、自然と涙腺が緩む。吉沢亮は、俳優としての“芸”の力を存分に見せつけ、観客の心を深く揺さぶることに成功している。この映画見終わってからではなく、序盤から中盤時点での吉沢亮の演技を観て、素直に、実際の歌舞伎を見に行ってみたいと思ったからね。
  • 田中泯の“美しい化け物”ぶりと芸道の真理
    小野川万菊を演じる田中泯の存在感は圧倒的。女形の美しさと狂気が同居し、舞台上での妖艶さと人間離れした怖さにゾクッとさせられる。まさに「美しい化け物」。
    特に印象的なのが、「あなた歌舞伎が憎くて仕方ないんでしょう、でもそれでいいの、それでもやるの」という万菊のセリフ。これは一見俊介への指導のようでありながら、実は隣で聞いていた喜久雄の心にも深く突き刺さる。万菊は喜久雄の心の奥底を見透かし、憎しみという感情もまた芸の肥やしになることを示唆している。
    愛憎表裏一体、憎しみがあるからこそ芸と深く向き合い突き詰められる――芸道の深遠な真理を体現する言葉。芸術とは生半可な気持ちでは成し得ず、時に“狂気”と呼ばれる境地にまで到達するもの。家族や愛すべき者、社会の秩序やルールすら捨ててでも追い求める先に、喜久雄が最後に見た景色があったのだと思う。万菊の言葉は、作品全体のテーマである芸と血、愛憎の複雑な絡み合いを象徴し、観る者に深い思索を促す名場面だった。
  • 春江の“唐突な乗り換え”問題
    春江が俊介に乗り換える展開、正直「え?」ってなった人も多いはず。前半であれだけ喜久雄命だったのに、心情描写が薄すぎて観客置いてけぼり。雨の中のランデブー(死語)も唐突すぎて笑うしかない。脚本の都合感が否めない。
  • 喜久雄バッシングと“家族の冷たさ”ムナクソ展開
    俊介や春江、継母までもが、喜久雄がバッシングされても何もかばわない。「え、家族でしょ?親友でしょ?」って叫びたくなる。しかも、みんな基本“良い人”設定なのに、この局面だけ冷淡。脚本とキャラ設定のミスマッチ感が否めない。
  • 子役コンビの怪物級ガチ演技
    黒川想矢&越山敬達の“子役”コンビが序盤から観客の心を鷲掴み。もはや子役って年齢でもないが、練習量と根性が画面越しに伝わる。大人顔負けの存在感で、物語の土台をしっかり支えている。
  • どうして脚本が“無茶”に見えるのか?
    原作のスケールと密度を2~3時間の映画に収めるためには、どうしてもエピソードの取捨選択や人物関係の簡略化が避けられない。その結果、原作では自然に積み上げられていた心情の変化や関係性が、映画だと“急展開”や“説明不足”に見えてしまうのは、ある意味しょうがない宿命。特に春江の心変わりや家族の冷たさなど、「ん?」となる脚本の無茶ぶりも、原作の膨大な描写を泣く泣く削った結果といえる。
  • 歌舞伎役者の健康問題と“長生き”の皮肉
    父である半二郎も、実子の俊介も、劇中で糖尿病を患い、長生きできずに亡くなるという設定がある。 歌舞伎の世界は健康的な生活とは程遠く、お酒の席も多く、生活習慣病にかかりやすい環境なのかもしれない。 そんな中で、喜久雄だけはランデブーせず、比較的健康に長生きし(皮肉です笑)、ついには国宝にまで上り詰める。 全体的な方向性として、喜久雄がここまで来るのに様々なことを犠牲にしたみたいなメッセージ性があるのは理解してるんです。 まぁ、途中で堕落的なラブシーンや素行の悪いシーンがわざとらしくありましたが、落ちぶれても芸をし続けてましたからね。 強いて言えば、藤駒とその娘だけなんだよね、犠牲にしたのは、きっと。 だから、糖尿病のような生活習慣病は自業自得の側面もあると感じてしまう。だって、喜久雄のせいで糖尿病になったわけじゃないやん! 健康に長生きし、治療に時間を取られなければ、その分芸に打ち込み、自分を磨く時間が増える。 だからこそ、喜久雄の実力と評価が高まるのは必然だとチャチャは思ったね。(これは現実世界でも通じる考えよな) まぁ、元もこうもない野暮なツッコミなのは自覚している。

小ネタ & 裏話ピックアップ!

  • カンヌ国際映画祭での反響
    2025年カンヌ国際映画祭で公式上映され、吉沢亮と横浜流星が現地でインタビューに応じた。『世界の観客がどう受け止めるか不安もあったが、6分間のスタンディングオベーションを受け、この経験は一生忘れない』と語っている。
  • 1年半に及ぶ歌舞伎稽古とキャストの絆
    吉沢亮と横浜流星は、映画のために1年半もの間、歌舞伎の所作や踊りを徹底的に稽古。お互いが支え合い、現場での信頼関係や盟友ぶりはインタビューや雑誌特集でも強調されている。
  • 京都を拠点とした長期ロケと現場の空気
    撮影は京都を拠点に約3ヶ月間行われ、キャスト・スタッフが一丸となって作品作りに挑んだ。劇場セットやロケ地の選定にもこだわり、現場は「職人たちの集まり」で、緊張感と同時に軽やかさもあったと三浦貴大がコメント。
  • 照明・美術のこだわり
    照明監督・中村裕樹が「鷺娘」などのシーンで、吉沢亮の動きや心情を光で表現することに挑戦したと語っている。

撮影裏&キャスト秘話

  • 吉沢亮の現場での挑戦
    吉沢亮は、撮影当初は台本を読むことをやめ、現場で感じたことをそのまま表現するというアプローチに切り替えた。監督の李相日は「答えを持たずに現場に立つ勇気」を評価し、現場での即興的な演技が多く生まれたと語っている。
  • 監督・李相日の現場主義
    李監督は出題者として役者に問いかけを投げかけ、答えを強制しない現場作りを徹底。吉沢亮も「お芝居のことだけを考える贅沢な現場だった」と語っている。
  • キャスト陣の現場での印象
    高畑充希は「この壮大な物語の幕開けの一員として参加できたことは光栄」と語り、三浦貴大も「刺激的で良い緊張感のある現場」とコメント。
  • ロケ地のこだわり
    びわ湖大津館や滋賀県立総合病院など、実際の施設をロケ地として使用。劇場の外観や稽古シーンのリアリティを追求した。
  • 田中泯の現場での姿勢
    田中泯は「人間国宝という大役に“自分がやっていいのかとドキドキした”」と語り、撮影後も「まだ終わった気がしない」と語るほど役に深く没入。80歳にして女形の所作や存在感を徹底的に追求し、現場の空気を一変させるほどの迫力だったと評判。

まとめ/総括

『国宝』は、ただの歌舞伎映画じゃない。血筋と才能、芸と愛憎、家族と孤独…人生のすべてを舞台に賭け…いや、賭ける生き方しか知らない者たちの壮絶な物語だ。
吉沢亮の美しさと狂気、横浜流星の気迫、渡辺謙の貫禄。全員が本気でぶつかり合う姿に、観る者は息を呑む。
息遣い、汗の滴り、本当に失神してしまうではないかという本気の芝居。

3時間近い大作なのに、無音の緊張と轟音のカタルシスで、一瞬たりとも目が離せない。
ただし、春江の“乗り換え”や家族の冷たさなど脚本の“ん?”ポイントはムナクソ必至。役者の熱演がカバーしているが、観客の共感を置き去りにした部分も否めない。これに関しては、今回に限らず、原作を映画に落とし込む時に、どの映画だろうとぶち当たる問題だ。

それでもラストの舞台シーンや吉沢亮の気迫、田中泯の“美しい化け物”ぶり、そして子役や伝統芸能への存在感で、全部許せてしまう…それが“芸”の力かもしれません。
「ムナクソ展開も芸のうち」――そう思えるかどうかが、この映画を楽しめる分かれ道かも!

「あなた歌舞伎が憎くて仕方ないんでしょう、でもそれでいいの、それでもやるの」

この映画で、チャチャは吉沢亮が好きになりました。
ということで、ババンババンバンバンパイアも観てきますわ^ ^


総合評価

  • ストーリー:★★★★☆ 壮絶で濃密、だが脚本の穴が惜しい
  • 映像・演出:★★★★★ 舞台の美と無音・轟音の演出が圧巻
  • キャラクター:★★★★★ 主役も脇役も全員濃すぎて目が足りない。田中泯の“美しい化け物”演技も最高
  • 敵キャラの魅力:★★★★☆ 敵というより“自分自身”と“血筋”が最大の壁
  • 芸道映画としての深み:★★★★★ 歌舞伎映画の新たな金字塔

総合:★★★★★(4.9/5)
コメント:美と狂気、血と芸、すべてを賭けた男たちのガチンコ勝負。脚本のムナクソも芸のうち!映画館で観ないと損!!


▶このシリーズのnoteマガジンはこちら👇
観たら語らずにいられない!チャチャの映画部屋

コメント

タイトルとURLをコピーしました